Impression

その他メーカー 試乗記

TVR Tuscan Speed Six ('03)

 ロック・トゥ・ロック1.7回転のかなり速いステアリングギア比は、交差点を曲がるときにS2000のVGS(バリアブルギアレシオ)の車と同じように強烈に巻き込んでくる感覚。タスカンにはVGSはもちろんないので、中高速では余計な舵角を容易に与えてしまいがち。最近の仕様ではロック・トゥ・ロックは2回転になっているので、もう少し運転しやすくなっているだろう。

 エンジンはピークトルクが40.1kgm@5000rpm、ピークパワーは7200rpmで350psを発生するという高回転型であり、実際も低回転でトルクが薄く感じるが、パワーバンドに入ってからは一気に7000rpmオーバーまで吹けあがる。素性からレーシングエンジンに近いものがあるだけにキャラクターもそのまんまで、2000rpm以下の低回転では若干神経質なところをみせる。

 ブレーキはブースターが無いかと思わせるほど踏力が重いが、きっちり踏んでいけば制動力としてはかなり高いところまで発生させることが出来る。普通に使う分には、食い込むように制動力が増加する感じがあるのでちょっと扱い辛い。

 サスペンションはまんまレーシングカーのようなダブルウィッシュボーンで、前後とも車高を微調整出来るようになっている。加減速で前後の姿勢変化が激しく、アンチダイブやアンチリフトといったジオメトリー設定は設計思想には無いようである。スプリングやダンパーは極端に硬めてあるわけではないので、意外なほど乗り心地は良い。リアの安定性がもう少し高くないと旋回速度が上げられないので、リアタイヤ(標準装着245/40R18)を出来るだけ太くして、トー、キャンバーのセッティングを取り直したほうが良いだろう。

 シフトフィーリングはストロークは短くてかっちりしている。アクセル、ブレーキ、クラッチの3ペダル全てが床面から生えているオルガン式で、ブレーキがストロークではなくて踏力でコントロールするタイプのため踏み込み量が小さいのに大して、アクセルのストロークはかなり大きいのでこちらのストローク量はもっと少なくても良いと思う。クラッチは重すぎず軽すぎずだと感じるが、一杯に踏み込んだところから踏力を抜いてくると反力が非線形的に強くなる。

2007/03/07(水)


Lotus Elise 111R

 操舵感は、ギアのプレロード変化が大きくてゴリゴリした感じなのと、直進±30deg範囲でヨーゲインが低く、そこから切り込むと急激にヨーが立ち上がっていくという非線形感が気になった。かなりリアヘビーで、リア側に旋回中心軸を持っている(RRのポルシェ911(996)に近い、997はもうちょっとマシ)ところもスポーツカーとしては軽快感が損なわれている部分だと感じた。残念ながら、ミッドシップのうれしさ、良さが感じられなかった。リアヘビーなので限界を超えさせたくないのか、ドアンダーセッティングになっているのが気持ちよさを感じない部分であろう。フロントタイヤをもっと太くしたほうがバランスがとれるだろう。
 それなりに旋回の限界値は高いし、ギアがクロースされていて加速力がかなりあるので面白いとは思う。でも、エンジンは8000rpmからトルクが盛り上がるかなりピーキーな特性だし、ヨー応答もセンター付近のダルさが災いして、走って楽しい車ではなかった。サーキットで攻めまくれば楽しくなりそうな予感。
 乗降性は想像を越えた悪さ(隙間から無理やり乗る感じ)で、いろいろなところの質感も低い。シフトフィーリングもゴリッとした感じで、前後方向のストロークが長い。ブレーキの遊びが大きい。

2006/03/01(水)


Volkswagen GOLF

 試乗したのは2.0TDI, 6MT(イギリス仕様)。従来のドイツ車っぽくない操舵力の軽さが印象的。車両自体の接地感もIVに比べて薄くなっている印象。切り込んでいくと、スムーズに操舵力が立ち上がってくるところまでの幅が適当で、その間の挙動がマイルドなので楽に走れる。操舵力が立ち上がった後、従来だとリニアに操舵力が増加していたが、増加の度合いが小さくなっているように感じられる。感触的にはリニアではないように感じられる(人間の特性としてそのように感じやすくなる)。ただし、車速の変化に対しては低速から高速まで同じ雰囲気になるようにチューニングされていて、自然な感じ。速い操舵に対しては無理にモータを追従させている感じではなく、トーションバーの先が逆相で動いている感じなのだが、ステアリング系の剛性感が低くてぐにゃぐにゃするような感じにはなっていない。
 6MTの左右方向が狭くて、何速に入っているか最初はわかりにくい。操作力も軽めだが、好みとしてはもう少しシフトノブが重めになっていれば良いと思うし、その方がフィーリングが良くなると思われる。試乗車はディーゼルエンジンだったため低速トルクはかなり太く、100km/h程度からの加速なら6速ホールドで充分の加速力が得られるが、アイドリング付近は意外に粘らない。
 室内はかなり広く、前席の人がちょっと遠慮気味に座っていた場合ならば、後席の足元空間はかなり広々としている。センターアームレスト後部に後席用のエアコン吹き出し口が完備されていて、足元にも吹出し口があるので後席の空調も良い。ただし、足元の噴出し口(前席シート下)はもう少し前のほうにあると邪魔にならないのだけど。 メータの照明色が紫っぽい青と言うのはちょっと趣味が悪いし、見づらい。audiの真っ赤な方がまだ見やすく感じる。
 パッと見で小さく見えるのだが、隣りに他の車を並べて比べてみると実際はかなり大きい車である。フロントのウインドスクリーンがかなり寝ていたり、角がかなり丸められていたり絞られていたりというデザイン上の工夫がされているためであろう。
 高速道路を走行してみると、かなりイイ。というのも、どっしりと走ってくれて、余計な気を使わなくても真っ直ぐ車線に沿って走れる。修正操舵も軽くて正確。大きくきると重いけど、普通に高速で巡航している限りは非常に楽。欲しいと思えるほど良い。

2004/02/01(日)


Mini Cooper

 Cooper S用の太いタイヤを履いていたせいか、すごくグリップ感が高い。FFと思えない素直な操縦特性で、きびきびと走る。エンジントルクをかけてしまうとさすがにトルクステアがでてきてFFと言うことを思い出すのだけど、ターンインなどはとてもよく曲がってくれる。エンジンも元気が良く、メカニカルノイズがうるさいがレッド手前まで充分トルクがついてくる。ちょっと飛ばすくらいなら充分ではないかと思えた。
 特徴的なセンターメーターやセンターパネルのスイッチ等、内装のデザインにも力が入っていて好感が持てる。ボディデザインは旧型のイメージを現代風にアレンジして、サイズを拡大しているが必要以上に大きくなっていない(現行のビートルはなんだか大きすぎると思う)ところも良い。但し、リア席はかなり狭いので覚悟が必要。

2001/12/01(土)


Mazda RX-7 Type-R(FD3S)

 世界唯一のロータリーエンジンを持つ車。エンジンは振動が少なく、するすると回転が上昇していくフィーリング。オーバーレブを防ぐために警告ブザーが鳴るのだが、これが鳴らないとどこまでも回してしまいそうなほどストレスのない回り方をする。エンジンブレーキはレシプロエンジンに比べて効きが弱いが、減速度の調整はブレーキですればよいだけの話で問題はない。ターボであることもあいまって、アクセルレスポンスは鋭くはない。

 ノーマルの足回りは、リアサスのトーコントロールがいやらしい動きを見せる。S字コーナーなどで切り返すときに、クラッというかフラッとするようなリアが横方向に逃げるような動きを感じるのだ。足を固めていけばこの動きは押さえ込まれてくるのだが。剃刀のような切れ味を持ったステアリング応答まではいかないが、ヨーの出方と横Gの立ち上がり方の連携が自然で気持ちの良い旋回をしてくれる車だ。


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