Impression

日産 試乗記

NISSAN Skyline 350GT TypeSP(V36)

 世界初4輪アクティブステア搭載車両。オドメータ2桁の新車。低速ではかなり摩擦っぽいステアリングフィールで、切り込んでいくとヨーが速い。フロントアクティブでステアリングギア比をクイックにしている。高速はヨー応答の速さを抑えてあってどっしり走らせようとしているが、ステアリングセンター付近に不感帯があってきり戻しから切込みへの繋がりが悪い。操舵力も中立点に落ち込むようなトルクの谷があり、そこからはトルクが急激に立ち上がってくる。高速はかなり操舵力が重くセッティングされていて、これは手応えを出そうとしているのだろうけど、重すぎて保舵がしにくい。また、定常旋回中に操舵力変化があるのが気持ち悪い。
 90km/h辺りで旋回動作に入ると、切り込んでいくときの車両挙動から想像される定常状態になったときの車両姿勢と、実際の定常状態での車両姿勢との間に乖離があり、定常旋回時に斜め走りしているかのような感覚になる。これはリアステアの影響だと思われる。味付けの範囲内でしか4輪アクティブステアのうれしさを感じられなかった(違和感も意地悪な操作をしなければあまり大きくはない)ので、お金を払ってまで装着するべきかどうかは、買う人のお好きにどうぞと言う感じ。
 サスペンションは突き上げも少なく乗り心地はスカイラインというイメージからはそこそこ良い。ボディの剛性感はあまり高くは感じられなかったが、ちょっと荒れた路面でも跳ねたりせずに路面を追従している感じで、足回りは悪くはない。外見はかなりコンパクトに見えるが、車自体はかなり重いのでスポーティかと言われるとちょっと疑問を感じる。VDC(ビークルダイナミクスコントロール)の効き方はラフでかつ効き過ぎ。
 内装に貼ってあるアルミのパネルはちょっと変わった感じのつや消し処理(サーっと荒くランダムに削った感じ)のもので、モダンリビングの一環なのだろうか?コックピットは包まれ感がありタイトなのは、スカイラインのイメージにあう。メータコンソールがステアリングコラムと一緒にチルトする構造になっているのは、メータが見やすくて良い。

2006/12/27(水)


NISSAN Skyline GT-R NISMO(BNR32)

 当時のグループAに対応するべく、メタルタービン(標準車は低慣性モーメントのセラミックタービン)を装着する限定車。試乗したのはブーストアップ仕様のライトチューン。足回りはノーマル。エビス南コースでドリフト走行の雑誌撮影をした。

 フロントヘビーだが、4WDであるためにそれがいい方向に働いて、フロント中心にグイグイ引っ張ってもらえるので、ドリフトコントロールも自由自在。しかも、横を向きながらでも前に進めるという嬉しさはリア2輪駆動とは別の世界。ボディ剛性はそれほど高くないというか必要最低限が確保されている程度で、車両の応答性もスポーツカーの切れ味はなく、やや鈍重。そこをパワーと4WDの威力で豪快に持っていくというのが楽しみ方だろう。ライトチューンの350ps〜400ps程度が振り回すのにちょうどいいパワーとシャシのバランスだと感じた。


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